やわらかな光の輪が、
スロープを上がると
視界に、
まるで、ゆっくり増殖するように入ってきます。
そう、これは窓。
けれど、光を採り入れるためだけの窓ではなく。
外光が有機的に、そこにあるかのような。
ここに来ると、つい、カメラで光の輪を いくつか切取りってみたくなります。
(といってもケータイですが・・)
で、来る度に撮るので、これらのカットも季節と時間帯によって、色が変わっています。
旧兵庫県立近代美術館のスロープの壁面
村野藤吾
1970年
ディテールについて人があまり気のつかない部分なんですが、「力」ー物理的な力の相互作用、抵抗対抵抗という力学上の表現が建築一般でしょう。このような物理的な表現をもっと軟らかなものに、力の表現をもっと心理的に救えないでしょうか。たとえば、ジョイント部分にワン・クッションおいて、お互いにぶつかり合わないで共存するようなディテールにできないだろうか。そうすれば、その建築で生活する人々の心がなごみ、人と人との心の触れ合いにもとげとげしさがなくなって平和になるのだと思います。「ディテール」昭和49年4号 談話より
村野藤吾著作集 同朋舎出版
この窓も光をワンクッションおいて内部に採り入れています。
村野藤吾のこの談話は旧兵庫県立近代美術館の竣工より後ではありますが勝手読み?をしてしまいました。