「現代美術の皮膚 Skin of/in Contemporary Art」開催中のNMAOに行ってきました。
「皮膚」という言葉に惹かれて。
だけれど、「現代美術の皮膚」というタイトルは意味不明。
ギモンは展示を見ても やっぱり・・・??? のままでした。
レイコ・クルックさんの「スキンアート展」(2000年)で皮膚とアートがしっかり刷り込まれている私なので、「現代美術の皮膚」は必見だったのですけれど。
タイトルと展示内容がどうもびったり感じられなかったのですが、(最近国立系?の美術館や博物館ってタイトルのつけ方が実にお上手ですのに・・)興味深い作品がいくつかあってヨカッタ・・。
なかでも、無数の玉虫を鎧のように、或いはドレスのように纏った透明な人型を見せたヤン・ファーブルの作品が面白くて虫をまじまじと見つめてしまいました。連続するモチーフが大好きな私、甲冑になってなおキラキラ光る無数の玉虫が面白くて奇妙で・・・
また、彼の初期の作品に葉っぱ虫(だったかな?葉にそっくりの隠蔽的擬態の虫)を2匹(この場合2体というべきかも)、100号以上もの大きさの紙の中央付近にペタッと貼付けたものがありました。葉っぱ虫は枯れ葉のごとく擬態し軽妙な姿態で貼り付いています。
この作品の台紙となっている紙は光った青。虹がブレンドされたみたいに輝いています。
その青はよーく見るとボールペンで塗りたくられた(まさに!)青でした。
何万回とボールペンをペイントするように青青と光るまで紙に走らせてつくった青だったのですね。
昆虫、ファーブル、、、
もしかして「昆虫記」のジャン=アンリ・ファーブルと彼は何らかの関係があるのかしら?と思って館内の資料に目を通すと、ヤン・ファーブルは・・J.H.ファーブルの曾孫でした。でも、ヤンが「昆虫記」のジャン=アンリ・ファーブルが曾祖父だと知ったのは20歳の時、以来昆虫への傾倒に拍車がかかったということです。やっぱり、ね。と合点しましたけれど、3代も遡るとあんなに有名な「昆虫記」の作者も曾孫に「刷り込み」しなかったのね、とちょっと不思議。
この日のNMAOの主な観客は美術系の学生たちでした。
そんな観客のなかに、監視員に話しかけている妙齢の女性がいます。
「あのー、顔の皺の減らし方の展示があるかと思って来たんだけど・・・」
ええっー???
監視員「はぁー、、、」としか言えず・・・
翻って私、こんな面白い観客はいないと、この女性客のストーカーを始めました。
くだんの女性、オルランの作品でしばし足を止めて、また監視員に質問。
「あのー、整形後の写真はありますか?」
オルランは自らの身体を使った整形手術パフォーマンスで知られた作家です。
今回はオルラン7回目の整形手術の様子を14枚の写真で構成した作品が展示してありました。
で、監視員の答。
「この手前のが整形前で、あちらの最後の写真が整形後です」
ん、ここってどこだっけ・・?
ほらね、タイトルって大事でしょ。
けど、訳分らんタイトルだと、意外な観客も見込めるようです。
これまた、楽しからずや・・・
**NMAOってどう読むのかなぁ
***「スキンアート展」の会場でもあったキリンプラザ大阪の取り壊しが決まりましたね。無くなるとなると少し寂しい。いつまであるのかなぁ
「現代美術の皮膚 Skin of/in Contemporary Art」
国立国際美術館
2007年12月2日(日)まで